日本天文学会1999年秋季年会 [W38b]
清水 敏文、一本 潔、末松 芳法、花岡 庸一郎、鹿野 良平、常田 佐久(国立天文台)、松崎 恵一(宇宙科学研究所)、秋岡 眞樹(通信総合研究所)、 三神 泉、斉藤 秀朗、永江 一博、三木 史郎、田畑 真毅(三菱電機(株))、 武山 芸英、山室 智康、榊原 佳子((株)ジェネシア)、Solar-B開発グループ
第22号科学衛星Solar-Bに搭載される可視光・磁場望遠鏡 (Solar OpticalTelescope, SOT)は、太陽光球面に分布する微細な磁場を0.2秒角の分解能で
ベクトル的に高精度で測定する、わが国において初めての本格的なスペース光学望遠鏡である。Solar-Bの科学目的は、下層大気(光球、彩層)と上層大気(遷移層、コロナ)を
一体のシステムとして捉えて、太陽活動(磁気流体現象)の基礎的物理過程を明らかにすることであるが、可視光・磁場望遠鏡は下層大気の磁場・速度場の高精度観測を担当する。
可視光・磁場望遠鏡は、地上観測では到達が極めて難しい空間分解能での観測を可能とし、さらに長期間にわたる連続的観測により、活動的な太陽磁場の変化を高精度で
捉えることが可能となるため、今まで観測されなかった(できなかった)新しい発見が得られ成果が大いに期待できる。
可視光・磁場望遠鏡は日米協力により共同で開発される。口径50cmのグレゴリアン式望遠鏡(光学系)は日本が担当する。超低熱膨張率の構造材の開発が順調に進み、
また光学系パラメータの確定作業および熱設計作業を進めている段階である。2次元撮像観測を可能とするフィルター観測系および精密磁場観測を可能とする
スペクトログラフ観測系からなる焦点面検出装置は、米国ロッキード太陽天体物理研究所が担当する。また、画像安定化のために搭載される、
コリレーション・トラッカー・システムについては、高速カメラと相関処理部分は米国が担当し、ティップティルト鏡は日本が担当することになった。
可視光・磁場望遠鏡の観測制御については、観測プラン(データ取得シーケンス)の管理・制御は日本が担当するミッションデータプロセッサ(MDP)が行ない、
MDPからのデータ取得指令を基に米国が担当する焦点面検出装置の処理プロセッサが機構部・CCD撮像の制御を行なう。
本年度より日米共同の開発研究(phase A)が開始され、現在可視光・磁場望遠鏡の設計が日米共同で進められている。
本講演では、可視光・磁場望遠鏡の開発状況の現状を報告する。