日本天文学会2000年秋季年会 [V20b]
橋本 修、Hakim L. Malasan, 田口 光、清水 実(県立ぐんま天文台)、武山 芸英、山室 智康((株)ジェネシア)
県立ぐんま天文台の150cm望遠鏡ナスミス焦点に設置される分光器について現状を報告する。エシェル回折格子を用いた高分解能の可視分光器である。
検出器には 2048 × 4096 画素(一画素は15μm角)のCCDを用い、3.2画素に相当する標準的な1秒のスリット幅でλ/Δλ ~ 75,000の分解能を達成する。
この状態での限界等級は 2時間露出で12等程度と見込んでいる。観測可能な波長域は 360―1000nm で、一度の露出で 100nm 程度あるいはそれ以上の波長域を
カバーすることができる。なお、理論限界の2.0画素に相当する0.6秒のスリット幅では最大分解の120,000が得られることを目指している。
コリメータやカメラの光学系は全て透過系のレンズを用いたもので、光学特性を維持するために、全体の光学系は真空のチャンバーに収められ温度管理がなされている。
現在、望遠鏡に対する設置作業が進行中であり、2000年7月の段階では、ナスミス台にチャンバーが設置され、望遠鏡全体の調整がほぼ終了したところである。
今後、光学系や検出器、制御系などの設置が順次行われることになっている。年会ではその時点での最新の状況を報告する予定である。
併せて、150cm望遠鏡本体の現状についても簡単に報告する。