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学会発表

日本天文学会2000年春季年会 [W28b]

"Solar-B 可視光望遠鏡のnon-sequential光線追跡"

榊原佳子((株)ジェネシア)、一本潔、花岡庸一郎、鹿野良平、末松芳法、 常田佐久(国立天文台)、松崎恵一、小杉健郎(宇宙研)、SOT開発グループ

Solar-Bの可視光望遠鏡(OTA)は、グレゴリアン式の反射望遠鏡であり、その系内にふたつの結像面を持つ。ひとつは主鏡がつくる1次焦面であり、 その位置には観測視野外の光束を系外に排出するミラー(HDM:Heat Dump Mirror)やその保持機構が位置する。もうひとつは主鏡と副鏡がつくる2次焦面であり、 その付近には主鏡やコリメータレンズユニット(CLU)が配置される。このため、衛星の姿勢異常時には通常想定されるのと異なる光路に沿って太陽光が入射し、 OTAの構成部品上に光集中が生じることがある。同じ現象は日陰軌道における大気の屈折効果によっても生じる。光集中は、その程度によって熱破損の原因となるので、 対策を検討することは必須である。またHDMの構造は複雑であり、HDMやスパイダーなどの構成品によるによる光線のけられがないこと、機械公差に対して適切なマージンを もつこと、をあらゆる場合に対して確認することは極めて重要である。そのためには、基礎情報として太陽光の入射方向と光集中のパターンの間に成立する関係を 定量的に見積もる必要がある。
そこで我々は、OTAの光学要素と主要な機械構造を含んだソリッドモデルをコンピュータ上に作成し、太陽からの光束をシミュレートする多数の光線を non-sequentialに追跡することによって、種々の入射角に対する望遠鏡各部の光強度分布を求めた。
解析の結果、熱的に詳細な検討を必要とする複数の光集中パターンを見い出した。例えば入射角0.5°から5°において、HDMのスパイダー上に180W/cm2の 光集中が生じることが分かった。また入射角 1.2°において8.5W/cm2の光集中が主鏡上に生じることも判明した。これら異常な光集中の他、 今回の解析によって視野絞り面の反射光が望遠鏡の内部部品を照射する散乱光の強度や、太陽リムの観測時にCLU上に生成される非軸対称性の照度分布も明らかとなった。 また、本手法によりHDMの最適化設計を行い、実機試作に進むことができた。
一連の解析結果は、望遠鏡の構造設計やビームパターンの解析に、本手法がたいへん有効であることをも示している。

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