日本天文学会2001年秋季年会 [V04a]
○菅井肇、尾崎忍夫、服部尭、河合篤史 (京都大理)、他京都三次元 分光器チーム、武山芸英 ((株)ジェネシア)
我々は、京都三次元分光器第2号機(1997年春季年会V10a: 菅井他)を、すばる望遠鏡等に搭載することを目指して開発中である。 360nmから900nmまでの広い波長範囲に対応した設計がなされている可視光多モード分光器だ。現在のところ、面分光モードやファブリペロモードが 計画されているものとしては、すばるに関して唯一の器械である。面分光を行うマイクロレンズアレイモードでの空間サンプリングは~0''.1 lens-1、 ファブリペロモード等その他のモードにおいては0''.06 pixel-1と、すばるの高空間分解能をフルに活かす設計となっている。我々は以前2000年6月に、 国立天文台三鷹の1.5メートル望遠鏡(赤外シミュレータ)にとりつけて、テストを行った(2000年秋季年会V19a: 菅井他)。この際に残された課題を克服するために、 分光器に改良を施した後、2001年1月に赤外シミュレータにおける最終テストを行った。残された課題がすべて克服されたので、これを報告する。 まず、分光器姿勢差による像や多瞳像のCCD上の移動が、マウント等に改良を施した今回激減し、すべての姿勢差について~1 pixel程度という最終目標値に おさめることができた(今回の服部他を参照)。マイクロレンズアレイモードにおいて、多瞳間にわずかに存在する光を遮るためのマスクを用いる。 今回、実際のマスクを用い、この方法の有効性が示された。モータ等の制御系に関しては、すばるに搭載する場合にはケーブルの太さへの制限が緩いために、 パラレル化して観測効率をあげることができる。これに成功しリモート化が完成した。テスト観測では、ファブリペロを用いた波長スキャン観測も行った。 実際に得られたデータは空間的にオーバーサンプリングとなっているが、これは、すばるで予想される状況に大雑把に対応している。 我々はデコンボルーションを用いることにより、オーバーサンプリングが、高空間分解能の情報を得るために有効であることを示すことができた。 現在、すばるとのハード/ソフト的なインターフェイスに関する作業もほぼ終了しており(服部他を参照)、近々すばるでの試験観測時間を申請する予定である。