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研究業績

学会発表

日本天文学会2002年秋季年会 [V56c]

"線スペクトル偏光分光装置 LIPS の開発"

○秋田谷 洋、関 宗蔵、松田 健太郎、本間 賢一(東北大理)、
池田 優二(ジェネシア)、川端 弘治(国立天文台三鷹)、平田 龍幸(京大理)、岡崎 彰(群馬大教育)

線スペクトル偏光分光装置 LIPS は、可視光波長域の輝線・吸収線について、R=6500 (Δv~45 km/s)の高い波長分解能で直線偏光スペクトルを 取得する偏光観測専用分光装置である。 天体光は、無色半波長板で位相変換され、ウォーラストンプリズムで直交する偏光2成分に分離される。 その後、エシェル分光器にて分光され、偏光2成分それぞれの高分散スペクトルがEEV 2K × 2K CCD chip上に 結像される。分散系にエシェル形式の 分光器を用いることで、可視波長域4000-8000 Åのうち、1500-3000 Å幅の 広い波長範囲の高分散偏光スペクトルを一度に取得することが可能である。

上記波長分解能で、0.1%以下の偏光測定精度を実現するために、必要な開発調査を実施した。重要な要素の一つと なる半波長板には、ポリエチレンメタクレート樹脂 5層からなる無色半波長板を用いている。一般に、半波長板は、 複屈折性を持つ材質から成る薄板の貼り合わせで構成される。各層界面の反射光に起因する 干渉により波長方向に 透過率の激しい変化(=透過率リップル)が生じ、高分散での偏光測定の精度向上の妨げとなっていた。 我々は、薄板と 接着剤の材質・屈折率、厚さが適切に選択され、透過率リップルが強度にして0.4%以下となるように設計された波長板を 用いることで、 波長方向に平坦で十分小さい器械偏光を実現した。

2002年2-3月に本装置をハワイ大学2.2m望遠鏡カセグレン焦点に取り付け試験観測を実施し、0.1%以下の安定した偏光 測定精度が達成されていることを確認した。 また、前主系列星や共生星など、強い輝線を持ち、かつ星周に運動する 散乱体が付随する天体の主な輝線について、高分散偏光スペクトルの測定に成功した。

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