ホーム > 設計開発サービス > 光学設計の具体例 【具体例】
ジェネシアが お客さまの仕様に対して、どのようにアプローチしているのか、実例をご紹介します。
題材とする案件は、被測定物(気体/液体)に混入した粉体や、溶け込んだ不純物の程度を、計測するための光学系の開発に関するものです。
当初の仕様は、光学配置として次の構成を取るよう明記されていました。
[光源:メタルハライド電球]   | →   | [投光レンズ]   | →   | /試料/   |
→ | [受光レンズ] | → | [フォトダイオード] |
つまり、試料を透過する光強度の変化を計測することで、異物(濃度)の定量化をしようとする光学ユニットだということです。 この段階の調査によって
ということが分かりました。
つまりジェネシアのお客さまに、ビジネスを展開して頂くには (要するに、このユニットで稼いで頂くには)、製造コストを上昇させることなく圧倒的な S/N 改善を達成すれば良いということです。
そこで、後述の技術方針を提案し、結果として、右図に示す光学配置を得ました。
これには 2つの理由があります。 この案件では同一構成品を対向して投光レンズ/受光レンズとして用いることで、技術的なメリットが生じるのです。 (しかし、光路まで対称とするのではありません。実に ここがポイントです -- 詳細後述) もうひとの理由は、ずばりコストメリットです。 試作段階では製造用の治具費用を節約できますし、量産時にはスケールメリットが得られます。
光束径を広げないことで、光学的ノイズ(背景光・迷光)の発生を抑制し、かつ、光束径を狭めないことで検出すべき光信号が小さくなりすぎない事を意図したものです。 このような光束を生成するのは、『単純に平行光束を作れば良いだけであって、特に難しくはない・・』と考えがちですが、それは違います。 メタルハライド電球の様に、面積体としてのフィラメントを持った光源の場合にはレンズを通過した光束を平行光束として取り出すことは原理的にできません。
これらは つまり、 "『物体絞り』と、『受光レンズ中の視野絞り』を実結像の関係で結ぶ" ことを意図したものです。このようにすると、2つの点でメリットが生じます。
ひとつめは、外側のマージナル光線(上図中で、緑丸を記した光線)が光軸と平行になるという事です。 この状況は投光側/受光側のレンズが全く同一のレンズであることにも関連して成立しています。 実際、フィラメント上の各点を出発し、投光側のレンズを通過した光束のそれぞれは、受光レンズの視野絞り位置に向かっていく収束光です。 しかし、それらを全体として見ると、光束の径は、投光レンズから受光レンズまで、太くも、短くもならず、同一径のまま維持されます。
ふたつめのメリットは、下記 6)項 ともあいまって実現されるものです。 この光学系は、2つの視野絞りと、2つの開口絞りが存在していて、かつ、2組の『視野絞り - 開口絞り』のペア がそれぞれ共役関係となっています。 このことによって光検出器に到達する光の発光位置と放射角の厳密な制限が可能となり、光学的ノイズ(背景光・迷光)の光検出器への混入が防止されるのです。
このような事まで検討するのは、光学モデルに組み込まれてはいなくとも、光学ユニットの特性に影響を与え得る部品要素があるからです。
この案件の場合には、電球のガラス壁や、フィラメント底面の金属部品などの細部が、それに相当しています。
これらの要素をどんなに細かくモデリングしても、想定し得ない背景ノイズの要因は常に存在しています。
そこで、どこまでも厳密なモデリングの構築を実施して開発コストを上げるのではなく、光学知識をフルに活用して、それらの影響を原理的に回避しようとするのが、ジェネシア流です。
結果として、光検出器は ピンボケ像を得ることになります。 このことは、どんな場合でも検出器全体が等しく照らされているということに相当しています。 つまり、このような配置を取れば、光検出器の感度の受光面内依存性の影響を最小限に抑えられるのです。