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横収差図の読み方 -- レンズ設計を始める前に

2.横収差の開口依存性と画角依存性

横収差図は、像の集光状態を評価しようとする面 (評価面)に到達する光線座標と その光線の入射瞳面上の通過座標を対応づけたダイアグラムです。 入射瞳面上の座標の代わりに絞り面上の座標を使うこともあります。 評価面としては典型的には像面を選びます。横収差図の横軸が開口(入射瞳座標)に対応していることはこれまでの例に示されているとおりです。 その縦軸は横収差量ですから1枚の横収差図から把握できるのは、 横収差の開口依存性だということになります。

一方、横収差は画角にも依存しています。しかし横収差図には画角に対応する軸がないので、そのままでは画角依存性を表現できません。 そのため横収差の画角依存性を把握するには、視野内から画角の異なる複数の物点に対する横収差図を描き、 それらを相互に比較する必要があります。

図18には、5つの物点(画角)に対する光路図が描かれています。
図19には、その各光路に対する横収差図を示します。

光路図

図18:5つの物点(画角)に対する光路図

光路図

図19:横収差図

横収差量A5~A1は画角の異なる光路に関する上側マージナル光線の横収差量

3次の収差論によれば、横収差量ΔYの開口依存性・画角依存性は次のように 記述できることが知られています。

ΔY ∝ Ⅰh3 (tanω)0 - 3Ⅱh2 (tanω)1 + (3Ⅲ+P) h1 (tanω)2 - Vh0 (tanω)3
(メリジオナル面内の場合。物界を占める媒質は空気)

ここで、hは入射瞳座標、ωは画角を表します。 この式から明らかなように横収差量を決定する係数Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、P、Ⅴ は それぞれ開口と画角の1~3乗に比例します。

係数 開口(h)依存性 画角(tanω)依存性 横収差図上の特徴
3乗 0乗(関連しない) 奇関数、3次曲線
2乗 1乗 偶関数、2次曲線
1乗 2乗 奇関数、直線
1乗 2乗 奇関数、直線
0乗(関連しない) 3乗 表現できない

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