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横収差図の読み方 -- レンズ設計を始める前に

7.横収差図の原点付近の傾きが画角により異なり、
  更にメリジオナル光線とサジタル光線で異なる場合(非点収差)

物点と光軸を含む面をメリジオナル面といいます。通常の光路図はこの面内を伝播する経路が図示されています。 前章までに 扱ったこのような光線をメリジオナル光線といいます。
光学系の収差を議論する際には、メリジオナル光線だけではなく、メリジオナル面外を伝播する光線も考慮しなければなりません。 それらのうち代表的に取り上げられるのはサジタル面を伝播する光線(サジタル光線)です。サジタル面とはメリジオナル面に 対して垂直で、かつ主光線を含む面であると定義されます。したがって、メリジオナル面と同様に、サジタル面も物点の数だけ 定義されます。 ただし多くの場合、すべての物点を同一面内に定義することにより、画角によらずメリジオナル面は共通面として 認識される一方、サジタル面は画角の数だけ認識されます。

光路図

図28:メリジオナル面とサジタル面の説明図

回転対称光学系では、サジタル面内を伝播する光線の経路はメリジオナル面に対して対称です。このため、各光線の評価面上に おける到達位置もメリジオナル面を挟んで対称です。 したがって、サジタル面上の光線の横収差図は奇関数としての曲線で 表現されます。

図19ではメリジオナル面における光線の横収差図です。これにサジタル面における横収差図を加えて図29とします。

光路図

図29:メリジオナル面とサジタル面における光線の横収差図

図29に示す収差図の原点付近(主光線付近)の傾きが、たとえ同じ画角であってもメリジオナル面とサジタル面とでそれぞれ 異なっていることがわかります。 これはメリジオナル光線とサジタル光線の結像位置が一致していないという状況を 示しています。

光路図

図30:非点収差が発生している場合の光路図

図30において、メリジオナル光線の集光面ではサジタル光線は未だ集光しきっていません。
一方、サジタル光線の集光面では、メリジオナル光線はすでに集光後の発散に転じていています。 このため、いずれの集光面でも 結像状態は点像ではなく、線像となっています。このように、物点からの写像でありながら点として結像しないこれを、「非点収差」といいます。

非点収差は、像面湾曲がメリジオナル成分とサジタル成分分離した状態と考えることができます。

光路図

図31:非点収差による像面

なお、非点収差を読み取る際に入射瞳座標の原点すなわち主光線位置付近の傾きに注目するのは、この付近では球面収差 (入射瞳座標の3乗に比例)とコマ収差(入射瞳座標の2乗に比例)の割合が小さく、非点収差(入射瞳座標の1乗に比例)よる横収差量の変化が支配的だからです。 逆に、マージナル光線近傍では球面収差とコマ収差が顕著に現れ、像面湾曲 による横収差量の変化は目立たなくなります。

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