ホーム > 技術支援サービス > 横収差図の読み方 -- レンズ設計を始める前に
図20は図19の横収差図のうち、画角0°と画角78°の横収差図を抜き出したものです。 これらを比較すると、入射瞳の座標軸に沿った横収差図の幅が、前者に対して後者では狭いことが分かります。
画角が大きな軸外光束では鏡筒やレンズの縁により光束の一部が遮られる「ビネッティング(ケラレ)」という現象が 起こることがあります。
また、軸上光束で形成される入射瞳の形状と、軸外光束で形成される入射瞳の形状が異なる 「瞳収差」という現象も起こり得ます。
これらの現象が生じると、軸外光束の入射瞳面上における光線束の幅が、軸上光束における幅よりも狭く(広く)なります。
入射瞳に入る光束の幅は、横収差図では入射瞳の座標軸に沿う幅に対応するので、これらの現象が生じる場合には、 横収差図の幅も狭く(広く)なります。
入射瞳座標軸のフルスケールは入射瞳径に対応している(前述)ので、これと横収差図の幅とを比較することにより、 その画角におけるビネッティングや瞳収差の有無を確認できます。
図20:ビネッティングと瞳収差による横収差図
(注)入射瞳径は近軸量であり、ビネッティングや瞳収差の影響を受けない。
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