2006年9月23日、日米欧の協力のもと開発された 太陽観測衛星が鹿児島県の内之浦宇宙センター から打ち上げられました。 プロジェクト名 Solar-B として開発された この衛星には 打ち上げの成功の後、『ひので』 という名称が与えられました。
この衛星には (1)可視光磁場望遠鏡、 (2)X線望遠鏡、 (3)極紫外線分光装置 が搭載されています。これらのうち、ジェネシアは可視光磁場望遠鏡の開発に参加しました。 とりわけ、可視光磁場望遠鏡鏡を構成する重要ユニット、CLU (Collimater Lens Unit) の開発に深く関わりました。
実際、最初の設計パラメータを導いてから、多くの試設計、機能追加、実験を繰り返し、 最終解を得たときには 6年が経過していました。 CLUは望遠鏡の出射光をコリメートして、NASAが開発した後段の多モード観測装置に 引き渡す役割を担っています。 このため、CLUには高い性能と安定性が求められました。
CLU は、厳しい宇宙放射線環境に適応しつつ、388nm~690nm まで広い波長範囲に渡って 高い透過率を維持したまま、4波長に対して同時に色消し条件を満足した、"白色光に 対する回折限界レンズ" です。 この特性は、10℃~40℃の範囲で安定して維持されます。 つまり、CLUはアポクロマティックな、アサーマル光学系だということです。
このレンズの第1入射面は凹球面として設計してあり、その曲率中心は、グレゴリアン 望遠鏡の焦点位置に ほぼ一致させてあります。 このため、第1入射面に蒸着された マルチバンドパスフィルタとあいまって、観測に使わない光束は、効率よく "光のまま" 排出できます。 この機能によって、後段の観測装置に流入する熱量を大幅に削減することに 成功しました。
『ひので衛星』が撮像した 素晴らしい太陽像は、こちらからご覧になれます。